おそばやさんに聞けない素朴な疑問

おそばやさんに聞けない素朴な疑問

製麺機

Q|お蕎麦屋さんって、自分の店でお蕎麦を作ってるって本当ですか?

A|本当です。

手打ち蕎麦屋さんでなくても、おそば屋さんはみんな自分でお蕎麦を作っています。左の写真のような製麺機で毎朝作っています。
製麺機は普通地下にあったり、厨房の奥の方にあったりします。
乾麺を使ったのではコスト的に合いませんし、茹で時間が遅いのでお客さんがいらいらしてしまいす。それに何より、乾麺より自家製の方がおいしいのは言うまでもありません。
自分でみんな作っているからこそ、どの店にもそれぞれ個性があって、美味しい店を見つけたときはうれしいですよね。

のれん|暖簾

Q|暖簾(のれん)には何てかいてあるの?

A|メインは「きそば」、屋号や電話番号なども。

1.色は紺が一番多くて、その他にも灰色とか茶色があります。夏は白に変えたり、茶蕎麦専門の店は緑色の暖簾を使ったりします。
2.『きそば』と読みます。『き』の字が漢字で『生』と書いてあったり、三文字とも漢字で『生蕎麦』と書いてあったりします。くれぐれも『なまそば』と読まないように。乾麺ではなく、自分のところで生麺を打って使っているという意味です。でも、本当の意味は「うちは100%そば粉で、つなぎは入れてないよ」と言う意味です。今ではそおいう店は極僅かです。『蕎麦処』と書いた暖簾も見かけますね。
3.普通はここに屋号や電話番号を入れます。ここに書いてある電話番号を見て電話をする人も居ないと思いますが。ここに屋号の入っていない暖簾は大抵既製品です。
4.『御膳』と書いてあります。その昔、お殿様の御膳にも出した上等な蕎麦だよ、という意味です。この『御膳』という文字が『かんぼう』という葉っぱのようなマークで囲まれているものもあります。『掛け売りはしないよ』という意味だそうです(が、これは口伝で真偽は定かではありません)。

そば湯

Q|そば湯って何?

A|そばを茹でた後の湯です。

そば湯とはお蕎麦を茹でた釜の湯です。冷たいお蕎麦を食べ終わって残ったおつゆ(もりつゆ)にこのそば湯を足して飲みます。
左の写真のような湯筒(ゆとう)に入れて出します。そば湯には蕎麦を茹でた時に蕎麦から出た豊富な栄養分(ルチン等)が溶けています。また、もりつゆは、そのままでは辛くて飲めませんが、そば湯で薄める事により、今度はかつお節のだしの香りがほのかに感じられたりします。
うどんをたくさん茹でた後だとそば湯はしょっぱく、また、中華麺をたくさん茹でた後だとかん水が溶けていたりしてNo Goodです。
良心的な店では中華は別の釜で茹でたりしているようです。
『そば湯くださーい。』と言わなくてもそば湯を出してくれるところはそば湯に自信をもっているところと考えてよいでしょう。是非味わって見てください。

せいろとざる

Q|『せいろ』と『ざる』はどう違うの?

A|そばは同じでも容器の違い。

『せいろ』とは蒸し器のことで蒸篭と書きます。昔は蕎麦を茹でないで蒸し器で蒸して、その蒸し器で出して食べたので、『せいろ』と呼ばれました。『ざる』とは文字通りざるに盛って出したので『ざる』と呼ばれました。今となってはどちらも同じ蕎麦で、呼び方が違うだけということになります。今は殆どの店がせいろを使ってもりやざるを出しています。神田の薮蕎麦さんでは今でもざるに盛って出しているようです。ざるを上下逆にして上げ底にしていますが(笑)。 また、海苔がトッピングされているかいないかで『もり』と『ざる』を区別していますが、『せいろ』と呼んでいるところでは『もりせいろ』と『ざるせいろ』という呼び方をしているところもあります。

乾麺

Q|冷麦や素麺はどうして乾麺なの?

A|細い面は乾燥でコシが出ておいしくなるのです。

それは、一般に冷麦や素麺に関しては乾麺のほうがおいしいとされているからです。
手打ち蕎麦屋さんで冷麦も自分で打っているところもまれにありますが、殆どは乾麺を使っています。それは乾麺の方がおいしい、もっと正確に言うならば食感がよいからです。殆どの食品は作ってから時間が経過すればするほど品質は落ちますが、冷麦や素麺などの細い麺に限っては、この乾燥、貯蔵による麺質の変化がプラスに作用するといわれています。簡単に言うと、乾燥、貯蔵すると麺が固くなるのですが、細い麺に限ってはこれがかえってコシのある食感を生み、おいしく感ずるというわけです。
乾麺の冷麦、素麺にもいろいろありますが、手延べ冷麦、手延べ素麺の方が更においしいのは言うまでもありません。

そば券

Q|『そば券』ってなに?

A|昔存在した商品券(今は見かけなくなりました)。

『そば券』とは最近めっきり配るお店も減りましたが、おそばの商品券の様な物です。これ一枚で『もりそば一枚と交換します』とか書いてあります。引っ越しのときにご近所に配ったり、何かのお礼のときにビール券の様に配ったりしました。
『引っ越しそば』とか言って、引っ越しのときには近所にそばを配るのが習慣で、『貴方のおそばに来ました』と洒落たわけです。ま、そばが一番手頃で安く済んだからと言う説もあります。

屋号

Q|あっちこっちにある同じ屋号の店はチェーン店なの?

A|一概に言えません。のれん分けや読み方の違いも。

関東ローカルな話題ですが、町にはいろんな屋号のおそばやさんがあります。『長寿庵』、『更科』、『増田屋』、『薮』、『砂場』、『大村庵』、『満留賀』、・・・。同じ屋号の店はファミリーレストランのようにチェーン店というわけではなく、殆どが独立採算の店です。主人が修行した店の屋号をもらって付けるので同じ屋号になるわけです。修行した店の屋号もそのまた修行した店からもらっているわけで、店の系図は複雑に入り組んでおり、同じ屋号だからといっても同じ系列とも限りませんが。
『薮』と『薮そば』と『やぶ』と『やぶそば』は違いますし、『大村庵』と『大村』と『大むら』も明確に区別しておかなければなりません。『まるか』と『満留賀』と『満る賀』も違います。読み方も『まるか』と読んだり『まるが』と濁って読む店もあります。
左の画像の屋号、ロゴは各店舗の登録商標です。

そば粉

Q|黒っぽいそば、白っぽいそばがあるのは何故?

A|そば粉の使用方法によって異なります。

そばの実は外側は黒っぽい色をしていますが、内側は真っ白です。甘皮を含んだそば粉を使えば出来た蕎麦は黒っぽくなりますし、芯の部分に近いところだけを使えば白っぽくなります。どちらが美味しいということでもなく、好みの問題ということになります。僕の好みを言わせてもらえば中間ということになりましょうか。(^^; 新そばのうぐいす色っぽいのが一番です。新そばとはこんなにうまいものかと思ったりします。いくら新そばの時期でも新そばを味わえる店は限られてきますけど。

製麺機

Q|手打ち蕎麦の方が機械打ちの蕎麦よりおいしいの?

A|そんなことはありません。

下手な手打ち蕎麦より上手な機械打ちの蕎麦の方がよっぽど美味しいです。手打ちか機械打ちかという打ち方だけで美味しい不味いが決まってしまうものではないと考えます。
手打ちであることを強調するかのように、切り方にばらつきのある手打ち蕎麦も見かけますが、これでは均等に蕎麦を茹で上げることができません。打ち方や看板に惑わされることなく、自分の舌で美味しい蕎麦を確かめてほしいと思います。

手打ち

Q|蕎麦粉100%の蕎麦が一番美味しいの?

A|好みの問題となるので奥が深い。

好みの問題ということになりましょう。
蕎麦粉100%で蕎麦を打つことを生粉打ちと言います。蕎麦粉は小麦と比べると繋がりにくいので、生粉で打つためには湯でこねたり、繋がりやすい甘皮に近い部分を使ったり、または、繋げるという事を無視してブツブツのままで良しとしたりします。一般的に(!)、生粉打ちの蕎麦は粘り気が強く、歯にくっつくようなネチャネチャした食感です。好みの問題ですが私個人としては、生粉打ちよりも、二八くらいの喉越しを大切にした蕎麦が好みです。
参考までに、JASでは乾麺の場合、蕎麦粉3割以上を蕎麦と名乗ってよいことになっていますが、生蕎麦にはこのような規定はありません。

ごめん

Q|そばって、結構高くない?

A|申し訳ないです。

外食産業の熾烈な競争の中にあって、500円で『もりそば』か『ざるそば』くらいしか食べれないとなると、そばは結構高いと言わざるをえないかもしれません。しかし、いいそば粉を使って、いいかつお節でだしを取って、いい醤油と味醂でかえしを作ると、やっぱりそれくらいになっちゃうんですねぇ。スーパーやコンビニで売っているお蕎麦の材料に比べれば数段上の材料を使っていますしね。ということにしておいて下さい。そば粉はうどん粉の2倍から3倍の値段しますし、本節も安くないですしね。まぁ、値段なりのものを提供するよう努力して欲しいところです。